KATTE

パフォーミングアーツや社会学のことについて、勝手にあれこれ書いています

積み立ての詩学

会う人会う人、みんな積立NISAの話ばかりするものだから、(貧乏人のわたしとしては)不安に駆り立てられる。 そもそもNISAとは何なのかよく知らないし、なにを積み立てているのかもいまいちよく分かっていない。そうじゃないことは分かりつつ、「積立NISA」…

E-Sports(パワプロ)で諸葛孔明になりたい欲望

おそらく、このブログを読んでいる誰も、「パワプロ」をやったことがないだろう。ほとんどの人は、「パワプロ」が何を指しているのかも知らないと思う。パワプロとは、「実況パワフルプロ野球」という野球ゲームのことである。二等身のお団子みたいなキャラ…

センセイと呼ばれること

博士論文の審査に通ってから一年ほどが経った。「センセイ」と呼ばれることが増えて、海外での敬称も"Dr."ということになった。敬称が(Mr.やMs.などに代表される)ジェンダー規範から自由になったのは良いことだけれど、今のところは、全然しっくりきていな…

6月に観た作品の感想

6月は国際学会の準備に時間を使ったので、そんなに数は観られなかった。 ちなみに、5月に観た作品については、下のリンクから観られます。↓ minartsuzuki.hateblo.jp 以下、いま覚えているものだけ、つらつら書いていきたい。 ----- 福田尚代さんの展示「ひ…

参加型アートの中断不可能性(おぼえがき)

前々回の記事に引き続き、「参加型アート」(特に、始まりと終わりの時間が決められているパフォーミングアーツ)における、観客の中断不可能性について考えてみたい。 「パフォーミングアーツ」界隈で、観客参加型の上演は、とにかく流行っている。なべて、…

5月に観た作品から連想したこと

5月はあちこち遠征していた。いろいろ、観ることができた。観て、連想的に思ったことなど、つらつら書いていきたい。----- ふじのくに世界演劇祭2024では、いろいろ観た。きちんと最初から最後まで観たのは、4本。 SPAC『白虎伝』 Co.SCOoPP.『まちなかサバ…

断想、差別やパフォーマンスについて

小さなライブハウスのイベントに行ったら、(客席にいる)特定の人をターゲットにした、舞台上のパフォーマーからの差別に遭遇した。ターゲットにされている人は帰ったし、わたしも入って10分経たずに帰った。 こういうこと、すごくときどきある。声をあげら…

音楽がおもしろい、とりとめのない話

音楽がおもしろい。 5月12日に、共同で作曲した作品を京都市立芸術大学で演奏してもらえるという機会があって、はじめて現代音楽(実験音楽?)の演奏会に行ったのだった。もともとわたしは実験的な演劇が好きだということもあって、ぼそぼそ声が音として含…

いまをなつかしむ

なんだかニーチェのことが頭を過ぎる永劫回帰のことだ昨日から。もし宇宙が無限回の試行を繰り返しているのだとしたら、これまであったことや、これからあることは、必ず、またあることであるのだし、かつてあったことでもある。だとしたら、いま私が書いて…

詩人失格

noteからはてなブログに移行して、エディタの問題もあるのか、書く文章が理屈っぽくなってきている。(それが自分でも少し嫌で、更新から手が遠のいていた)もうすこし、散文詩みたいに、余裕をもって考えていることを書くようにしたい。 わたしは、ふだんの…

「訥」という音楽作品が上演されます

公募に出していた「訥」という現代音楽の譜面が、審査を通過し、アーツコレクティブのRosettaさんに上演してもらえることになった。ありがたいことです。 rosetta-music.com この作品は、簡単にいえば、明確な議論の舞台に載せられる資格を得ることのなかっ…

グレーゾーン、社会的意義、ドラマトゥルクのこと

今日は、ドラマトゥルクについて今考えていることを、芸術の社会的意義という観点からまとめてみたいと思います。 とくに、芸術に関しての社会的理解があまり得られているようには思えず、芸術業界と社会一般が遊離してしまっている現状もあるように思われま…

よみちにひはくれない

noteから、はてなブログに移行して、半年くらいが経った。 私はほんとうに「気にしい」なので、「いいね」とか「スキ」とか、ついつい気にしちゃうのだけども、はてなブログはそういう機能がないからいい。評価したり、評価されたり、そういう観点から人を眺…

コロナ禍の私的振り返り その2

仕事の関係で、コロナ禍のアート業界の趨勢について調べている。 仕事の中身自体は、いつ、緊急事態宣言が起こって、いつ、まん延防止措置が取られて、それがどういうもので、AAFではいくら助成金が交付されて……というような、いわば客観的な事実関係を洗っ…

貧乏などをオープンにする

研究したくない日、というのはときどきあって、今日がその日である。 自宅の作業部屋の机に向かっているのだが、関係のない演劇の動画を観たりしてしまっていて、原稿のwordファイルを開く気になれないでいる。だから、今日は、今年立てた目標について、ここ…

「ボドゲー的孤独感」のこと

どこも混んでいるし、友だちは実家に帰っているし、かといって何もしないのも、なんとなく怠惰な気がして罪悪感すら感じるから、年末年始ってば、苦手だ。 今年から、わたしはパートナーと一緒に暮らしているのだけれども、年末は、パートナーは忘年会に行っ…

はて、読みにくい自己紹介

期せずして、前回に引き続き、自己紹介について、書く。 ただ、いろいろ書きすぎると、へんにストーリー化してしまう嫌いがある。たしかに、ストーリー化して物事を語るのは簡単だし伝わりやすくもあるのだろうけれど、ストーリーであればあるほど、どの自己…

自己紹介のこと

ひとに自分が誕生日であることを報告するのが、わたしは苦手だ。ちょっと気恥ずかしい感じがしてしまって自分から言い出すことができない。だからといって、祝ってほしくないというわけでは決してなくて、むしろ、おめでとう的なLINEが殺到することを、心の…

ラジオのこと

わたしは、ダラダラとしゃべっている時間が好きで、ラジオやポッドキャストなど、比較的よく聴いているほうだと思う。ラジオは、かしこまって聴かなくても、聴きたいところだけ聴いておけばよいから、気が楽である。 映画や本は、やっぱり、観たり読んだりす…

私的・コロナ禍振り返り(舞台制作編)

Googleフォトには、数年前の同じ日に撮った写真を一番上に表示してくれる機能があって、コロナで中止になった公演の会場を下見に行ったときの写真がたくさん表示されていた。コロナ禍もいつの間にか終わりを迎えていて、最初に公演が中止になってから、だい…

イラッとすると、ついついゲームしたくなっちゃう病

タイトルの通りである。 どうも、ストレスが溜まると、わたしはゲームをしたくなってしまう。これといって楽しいとか、そういうわけではないのだけれど、「ストレスが溜まったらゲームの世界に逃避せよ」というような指示が、おそらく、青年期くらいから、わ…

演劇のチケット代や、読書会についての覚え書き

10月は、わりと、働いていた。わたしは、これまで平日(働く日)よりも休日のほうが多い生活しかしたことがなかったから、はじめての働く日の方が多い10月は、身体がなかなかついていかず、2回も体調を崩してしまった。自分の専門性が発揮できる仕事はたのし…

はたらく「かお」、ちがった「見え」

9月末で大学院生を終えて、労働の日々が始まった。とくに10月限定で、いろいろ仕事を詰めすぎていて、研究や芸術のことは全然進まなかった。それまでは、「学振」の特別研究員として給料をもらって研究していたし、そのもっと前(2020年まで)は演劇の劇場周…

よるべなし、ひとりなんとか

「ひとりなんとか」をやりたい。というか、やる、やることになっている。「なんとか」というからにはなんでも良いのだけれど、おそらく演劇のようなことになるのではないかと思う。ギターになるかもしれないし、踊りのようなものになるかもしれないけれど、…

こころをマネジメントしない

「アンガーマネジメント」という言葉、ちらほら耳にする言葉だけれど、あんまり、わたしは馴染めない感じが、どうしてもしてしまう。 そこで言われているのは、(基本的には)業務を円滑にするために、自分で怒りをコントロールしよう、というような話で、な…

自由にしゃべりたい

zoomでの読書会を始めてから、一年と少しが経とうとしている。月に2回くらいのペースで開いている読書会で、人文系の入門書(いまは「贈与論―資本主義を突き抜けるための哲学―」という本を読んでいる)を読んで、本を読んで思ったこととか、自分の体験談とか…

演劇部の思い出の覚え書き

人生最後の夏休みがはじまった。博士号が取れたのはいいものの、生活は、ちっとも豊かにはならないし、勉強したいことも、しないといけないことも尽きないので、押し潰されそうになったりもする。生活をすることと、研究をすることの両立は、この国では、と…

Ph.D.を取りました(SophiaをPhiloすることをdocereするということ)

調査に協力していただいた方々や、研究会などでコメントを頂いた方々、また、さまざまな形で応援・サポートしていただいた方々のおかげもあり、昨日、Ph.D.(博士号)が取れることになりました。ご協力いただいたみなさん、ありがとうございました。 ----- P…

演劇創作における、ポリシーのような、やり方のような、もの

今日は、わたしが作品作りに関わらせていただくときの、関わり方について、ある程度文章にしておきたいと思います。 というのは、以前わたしが所属していた劇団の主宰の方が、最近のnoteで「鈴木(私)が、公演のプロデューサーとして、とにかく新しい演劇を…

からだのやさしさから考えたい

「やさしさ」を明文化したり、ルール化したりすることに対して、警戒していきたいと思う。 「やさしさ」って、そもそもそんなに簡単に言葉にできるものじゃないというか、「これこれのルールを守っているから優しい」とか、そういう話ではなかったと思うのだ…