KATTE

パフォーミングアーツや社会学のことについて、勝手にあれこれ書いています

勉強のこと

博士論文の提出が終わって、悠々自適の生活を送っている。おそらく、今年の夏は、わたしにとって、人生最後の、まとまった夏休みになるのだと思う。

 

20代前半の間、あちこちに顔を出しては、いろいろ勉強した気になっていたのだけれど、結局のところ、一人で本を読んでいた時間が、一番勉強になっているように思う。

やっぱり、インスタントに学んだことは、やっぱりインスタントに消化されている。一時期、NHKアーカイブが見られるサブスクで「100 de 名著」を観まくっていたのだけれど、(わたしの貧弱な記憶力のせいもあるだろうが)ほとんど覚えていない。山の上から撮られた写真を見るのと、じっさいに山の上に登って景色を見ることぐらい、いわゆる「ファスト教養」と、じっさいに自分で考えたことの間には、差があるように思う。博士課程のあいだ、私は、どれだけ自分の足で、絶景を眺めることができただろうか。

 

どうしてこんなに忙しいのだろう、と思う。

「マイケル・ムーアの世界侵略のススメ」を観て、イタリア人は、仕事の昼休憩のたびに、自宅に帰って、家族と一緒に2時間昼食を食べるということを、はじめて知った。2時間あれば、大学から市川の自宅まで帰って、パートナーと一緒にご飯食べられるのになあ、と思う。なにか忙しいわりに、(いや、忙しいからこそ、)いろいろなことが、インスタントに消化されていって、寿命だけが縮んでいる気がする。

最近、無駄に化粧水とか乳液とか、ビタミン剤とか使って、定期的に運動するなど、寿命を伸ばそう伸ばそうと、私はしているのだけれど、気をつけないと、楽しい時間が増えることなく、寿命だけが無駄に伸びきって、しなしなになっていく未来も見えなくはない。お肌だけではなく、人生もケアし続けないと、とか思う(それを「ケア」とか言い始めた時点で、「伸び」が始まりつつある気がしなくもないのだが)。

 

今年の夏は、老いても、毎日たのしく生きるくらいの筋肉がつけられるよう、今しか登れない山を登りたい次第です。ある種の「老い活」として・・。

 

 

 

 

 

パスタばかり食べている、夏バテの原因かもしれない