KATTE

パフォーミングアーツや社会学のことについて、勝手にあれこれ書いています

E-Sports(パワプロ)で諸葛孔明になりたい欲望

おそらく、このブログを読んでいる誰も、「パワプロ」をやったことがないだろう。ほとんどの人は、「パワプロ」が何を指しているのかも知らないと思う。
パワプロとは、「実況パワフルプロ野球」という野球ゲームのことである。二等身のお団子みたいなキャラクターが野球をしているゲームで、まあ、どこのゲーム売り場にも売っているくらいにはメジャーなゲームということになっている。

 

このゲーム、面白いのは、オンライン対戦で、いわゆる、E-Sportsである。

何年か前までは、プロリーグがきちんとあって、選手には給料が支払われていたらしい。そのときに作られたシステムなだけあって、かなり細かく洗練されている。昔の野球ゲームみたいに、強い球種を投げてれば抑えられるということはなくて、プレイヤー同士の駆け引きが重要である。とくに、野球ゲームなだけあって、細かい配球の駆け引きや、守備のシフトの駆け引きが重要になってくる。

たとえば、相手のバットの振り方や見逃し方で、相手の待っている球種を予測して、違う球を投げ続けたり、あるいは、あえて待っている球種をボールゾーンに投げて打ち取ったりする、という遊び方ができる。(ゲームに慣れてくると、打者がどういう球を待っているのか、あるいは、次に投手がどういう球を投げてくるのか、わりと分かる)

つまり、実際の野球でもありそうな駆け引きを、ゲームのなかで、部分的に楽しめるというわけである。

とくに、普通の野球だと、生まれつきの身体的な差が決定的に重要になってくる(たとえば、プロ野球選手は基本的に背が高い)から、まあ、わたしみたいな細身の人間は(基本的に)勝てないのだけれど、E-Sportsは、脱身体化されているから、生まれつきの要因に影響される要素が少ないから面白いなと思う。(まあ、動体視力とかは、生得的な要因も絡んでくるのかもしれないけれど・・)
とくに、野球は、本格的にやろうと思ったら、相手チームと合わせて18人集めないといけないので、インドア系な人間が気軽にできるスポーツではないのだけれど、野球ゲームなら、擬似的に駆け引きだけ楽しめるから面白いな、と思う。(ミスしても、自分にしか迷惑がかからないところも、良いところだ)

戦略を立てるという意味では、将棋や囲碁などのボードゲームも面白いのだろうけれど、私は、動体視力に根ざしたアクションの身体的な要素が少しだけ入っていて欲しくて、スポーツゲームをわりと遊んでしまう。
自己分析的にいうと、それはたぶん、脱身体化されきった、理性と理性の戦いで勝ったときより、身体的な要素も幾分か入った戦いのなかで、アクションの上手そうな相手を、駆け引きでやり込めたときの喜びが大きいからなのだろうと思う。(つまりまあ、諸葛孔明同士の理性の戦いで勝つのではなくて、身体的には明らかに優位な曹操に勝つ諸葛孔明に、自分がなりたいという欲望なのだと思う。)

基本的には脱身体化されたゲームという設定のなかで、身体的に優位な動体視力を持った相手に対して、脱身体的な理性で勝つことの悦びが、e-sportsにはある。

 

そういうわけで、最近、スポーツゲームにハマっている。
みんなも一緒にあそぼう。

 

 

 

レモンで野球した